- 2017.02.11-12
- 2017.02.21-22
がん化、特に放射線発がんは、個体の遺伝的背景に大きな影響を受けます。従来、「がん体質」とか「がんになりやすい家系」とか、漠然と表現されてきたがんの遺伝的背景が、現在のがん研究では最も重要な研究課題の1つになっています。当研究分野では、多遺伝子病であるがんを宿主の遺伝的背景の中にとらえ、個体の多様な細胞応答や組織応答の過程でダイナミックに成立するがん化の分子機構の解明を目指しています。
具体的な研究目標は、放射線や化学物質などのゲノム障害因子による発がんの分子機構解明とその成果を医療やがん予防に応用することです。研究戦略としては、ゲノム障害因子が誘発するゲノム不安定性と発がんとの関係を解明するためにゲノム損傷応答とその修復機構の解析を先端的な技術を動員して実施します.これらの基楚研究に立脚して個体における発がんの分子機構を解明するために、トランスジェニックマウス、遺伝子欠失マウス(knockout mouse)、さらには特殊な遺伝的背景を持つモデル齧歯類などの遺伝的背景が厳密に制御されたシステムを用いて、放射線等によるゲノム障害から修復、突然変異を経て、高次の生体制御機構の破綻に基づいて成立するがん化の分子機構の解明を行い、その成果を診断・治療やがん予防へ応用したいと考えます。